生物記録情報

2013.1.16
生物記録情報

 現在の自然教育園内で見られる生物の情報をお知らせします。
 昨日東京では雪が降り、湿った重たい雪は園内の樹木に積もり、多くの樹木は枝が折れたり、少なからず被害を与えました。しかし、今日になっても雪は解けず、草を覆ったままで、滅多に見られない雪景色を楽しむことができます。
そんな雪の中で目に付いた植物を紹介します。写真はカラスウリの実、ガクアジサイの冬姿、ヤブタバコの実です。
 カラスウリはウリ科カラスウリ属のつる性の多年草です。雌雄異株で、夏の間日没後開花し、翌朝にはしぼんでしまいます。白いレース状の美しい花ですが、残念ながら昼間は見ることができません。雌株にできる実は長さ5〜7pのラグビーボール形で、初めは縞模様の緑色ですが、やがて赤くなり目立つようになります。秋の間は鳥に食べられることもなく残っていましたが、年が明けて、ヒヨドリなどに食べられたのでしょうか、壊れているものも多く見られるようになりました。水生植物園、武蔵野植物園など園内各所で見られます。
 ガクアジサイはユキノシタ科アジサイ属の落葉低木です。日本原産で関東・東海地方の海岸線に自生します。園内では6月上旬から7月中旬位に花が見られます。(202.6.13の生物見頃情報をご覧ください。)現在ガクアジサイは名前のいわれである「ガク」にあたる装飾花が枯れて残り、中心部の両性花が実となっています。また、春に開く若葉の冬芽と葉柄痕のユニークな姿を観察するのも楽しいものです。武蔵野植物園と水鳥の沼付近で見られます。
 ヤブタバコはキク科ガンクビソウ属の1〜越年草です。根生葉が大きくタバコの葉に似ていることが名前の由来です。花期は園内では9月中旬から11月中旬と長く、園路沿いにも多く見られます。高さ50p前後の直立した茎に放射状に横枝を出し、黄色の頭花を葉腋にやや下向きに付け、あまり目立ちません。今は葉の落ちた横枝に実だけが残っています。実は粘液を分泌し服などに付きやすく、臭気があり、一度付くと取れにくいのでやっかいなものです。

〔樹木〕
(咲き始め)ハンノキ
(花の見頃)サザンカ
(花そろそろ終わり)ヒイラギ
(実の見頃)センリョウ、トウネズミモチ、マンリョウ、ムクロジ、ヤブコウジ
(紅葉)クサイチゴ、サネカズラ、スイカズラ、ヒメカジイチゴ

〔草〕
(実の見頃)ウバユリ、ガマ、カラスウリ、キチジョウソウ、ジャノヒゲ、ヒメガマ、ヘクソカズラ、ムサシアブミ、ヤブラン
(紅葉)アカハナワラビ、オオハナワラビ、キランソウ、ショウジョウバカマ、ダイコンソウ、トラノオスズカケ、ヤマルリソウ

 見られた動物は以下の通りです。
〔昆虫〕
  カマキリ類…ハラビロカマキリ卵鞘

〔鳥類〕ハシブトガラス、スズメ、シメ、アオジ、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、キクイタダキ、モズ、ヒヨドリ、ウグイス、シロハラ、ツグミ、アカゲラ、コゲラ、オオタカ、キジバト、ドバト
カラスウリの実
カラスウリの実
ガクアジサイの冬姿
ガクアジサイの冬姿
ヤブタバコの実
ヤブタバコの実
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