生物記録情報

2012.1.11
 現在の自然教育園内の主な生物の見頃情報をお知らせします。
 写真はムクロジの実、ヤブランの実、冬の紅葉です。
 ムクロジはムクロジ科ムロジ属の落葉高木で、温暖な山野に生えます。園内で見られる葉を落とした大木の中に房状に実を付けているのがムクロジです。木の周辺では落ちた実も見られます。実の中に黒く堅い種子が1つあり、種子は羽根つきの羽根の球(追い羽根)に使われます。また、サポニンを多く含む実の皮は水をよく泡立てるので、古くは洗濯に利用されていました。路傍植物園、武蔵野植物園、水鳥の沼の前などで見られます。
 ヤブランは、ユリ科ヤブラン属の多年草です。常緑で花が美しいので、庭や公園などにも植えられるお馴染みの植物です。花は薄紫色で、園内では昨年は7月末から9月中頃まで見られました(8月24日の植物見頃情報を参照)。名前の由来は葉がランの仲間に似ているためです。実は、ヤブランの黒く熟した実のように見えるものは種子で、早期に果皮がはがれ落ちてしまうので種子だけが成熟します。種子は始めは緑色です。園内各所で見られます。
 冬の間、葉が赤くなる植物が見られます。その中で木本を3種紹介します。紅葉のしくみは葉が凍らないように糖分濃度を高め、糖から赤い色素を持つアントシアンが作られたためです。アントシアンはイロハモミジのような落葉樹の紅葉のときに作られる成分と同じですが、葉は落ちず、春が近づき暖かくなると光合成が行われるようになり、再び元の色に戻ります。クサイチゴはバラ科キイチゴ属の落葉小低木ですが、暖かい所では常緑です。中央湿地を望む道ばたや武蔵野植物園などで見られます。スイカズラはスイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本で、水生植物園で見られます。サネカズラはマツブサ科サネカズラ属の常緑つる性木本で、園内各所で見られます。

〔樹木〕
(咲き始め)ヤブツバキ
(花そろそろ終わり)ヤツデ
(実の見頃)アオキ、イイギリ、イボタノキ、カラスザンショウ、ケンポナシ、サルトリイバラ、シロダモ、シロミノマンリョウ、センリョウ、トウネズミモチ、ノイバラ、ハリギリ、マユミ、マンリョウ、ムクロジ、ヤブコウジ
(紅葉・黄葉)クサイチゴ、サネカズラ、スイカズラ、マユミ

〔草〕
(実の見頃)オオニガナ、カラスウリ、カラスノゴマ、コガマ、シオデ、ジャノヒゲ、ヒメガマ、ヒヨドリジョウゴ、ヘクソカズラ、ムサシアブミ、モミジガサ、ヤブラン
(紅葉・黄葉)スイバ、トラノオスズカケ

 見られた昆虫、鳥類、その他の動物は以下の通りです。
〔鳥類〕
 メジロ、コゲラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、アオジ、ウグイス、シロハラ、シメ、ツグミ、ドバト

ムクロジの実
ムクロジの実
ヤブランの実
ヤブランの実
冬の紅葉
冬の紅葉
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