生物記録情報

2010.2.10
 現在の自然教育園内の主な植物の見頃情報をお知らせします。
 写真はヤブツバキの花、バイモの若葉、コナラの発芽です。
 花の少ない冬の間、園内に彩りを添えているのがヤブツバキの花です。ツバキ科ツバキ属で、暖地に生育する常緑の小高木です。ツバキには園芸品種も多く、古くから人々に親しまれていますが、このヤブツバキが原種です。またその種子から椿油を採取されてきました。
 「ツバキ」という名前の由来はいくつかあります。貝原益軒の「日本釈名」によれば、「厚葉木(あつばき)」がつまって「ツバキ」。新井白石は「東雅」のなかで、「艶葉木(つやばき)」がつまって「ツバキ」になったと説いています。また、深津正氏は、朝鮮語で椿のことを「冬柏(ton・baik)」といい、その音がそのまま日本に伝わって「ツバキ」になったと、「植物和名語源新考」で説いています。
 ヤブツバキは園内全域で見られますが、白い花のシロヤブツバキが水鳥の沼近くで見られます。
 バイモは、中国原産のユリ科の植物です。ニョキニョキと若葉が地面から伸びているのが見られます。名前は漢名「貝母」の音読みです。球根が二枚貝の殻の形に似ています。花の中に編み笠模様があるのでアミガサユリ(編み笠百合)とも呼ばれています。3月中旬頃に花が見られるでしょう。路傍植物園や武蔵野植物園など、園内各所で見られます。
 コナラはブナ科の落葉広葉樹、言わずと知れた武蔵野の雑木林の代表的樹木です。ブナ科の果実の総称は「ドングリ」ですが、コナラのドングリが発芽しています。地中には根が伸び、地上部では果皮が割れて子葉が見られます。武蔵野植物園にはコナラのドングリがたくさん落ちており、こんな様子も見られます。樹林下では日陰になってしまうので、発芽してもほとんどが大きな木に成長することはありません。

〔樹木〕
(咲き始め) アセビ、ウグイスカグラ、マンサク
(花の見頃) シロヤブツバキ、ヤブツバキ
(そろそろ終わり) ハンノキ
(実の見頃) アオキ、カラスザンショウ、マンリョウ、ムクロジ、ヤブコウジ
(紅葉) クサイチゴ、サネカズラ、スイカズラ

〔草〕
(咲き始め) ユキワリイチゲ
(花の見頃) カンアオイ、セツブンソウ、フクジュソウ
(実の見頃) ウバユリ、ジャノヒゲ、ヒメガマ、ムサシアブミ、ヤブラン
(紅葉) アカハナワラビ、オヘビイチゴ、スイバ、トラノオスズカケ
ヤブツバキの花
ヤブツバキの花
バイモの若葉
バイモの若葉
コナラの発芽
コナラの発芽
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