生物記録情報

2012.6.20
 現在の自然教育園内の主な生物の見頃情報をお知らせします。
 写真はイヌヌマトラノオの花、トモエソウの花、ムクロジの花です。
 イヌヌマトラノオは、サクラソウ科オカトラノオ属の多年草です。花穂が直立せずに曲がっている様子を虎の尻尾に見立てて「トラノオ」と名付けられました。同属のオカトラノオとヌマトラノオの交雑種で双方の中間的な特徴を持っています。オカトラノオは草原や山地などに生えるのに対し、ヌマトラノオは沼のほとりや湿地などに生えます。オカトラノオのように花の数は多数で花穂は曲がりますが、葉はヌマトラノオに似て細身です。自然教育園のイヌヌマトラノオは水生植物園の湿地に見られます。7月半ば頃にはヌマトラノオも水生植物園で咲き始めます。
 トモエソウはオトギリソウ科オトギリソウ属の多年草です。漢字では「巴草」と書きます。1枚1枚の花弁が少しずつねじれていて、卍形(まんじがた)をしているところからこの名前が付けられました。日当たりの良い湿った草地に生えます。花の直径が5センチほどで、我が国のオトギリソウ科では最大です。一日花で朝咲いた花は夕方にはしぼんでしまいますが、それが惜しいような美しい花です。水生植物園で見られます。
 ムクロジはムクロジ科ムロジ属の落葉高木で、温暖な地域に植えられます。秋から春にかけて葉を落とした枝に実を残し、木の周辺では落ちた実が多く見られます(2012.1.11見頃情報参照)。また黄葉の大変美しい木でもあります(2011.11.30見頃情報参照)。大木が多く、花を間近で見られる機会もないのですが、昨日の台風通過により、風で枝や花序が多く落とされ、花序を観察するチャンスに恵まれました。小さなクリーム色の花が咲き始めていました。これから、咲き終わった小さな雄花が頭上の枝からばらばらと園路を埋め尽くすことでしょう。ムクロジは路傍植物園、武蔵野植物園、水鳥の沼の前などで見られます。

〔樹木〕
(咲き始め)ナンテン、ムクロジ、ヤマハギ
(花の見頃)アカメガシワ、ガクアジサイ、ケンポナシ、センリョウ、ムラサキシキブ、ヤマアジサイ
(花そろそろ終わり)テイカカズラ、ナワシロイチゴ、ヤブニッケイ

〔草〕
(咲き始め)アズマカモメヅル、タカトウダイ、タケニグサ、チゴザサ、チダケサシ、ツユクサ、ノカンゾウ、ハンゲショウ、ヤブマオ
(花の見頃)アイイロニワゼキショウ、アサザ、イヌヌマトラノオ、オオチドメ、クサフジ、クララ、ケキツネノボタン、タマサンゴ、ドクダミ、トモエソウ、ニワゼキショウ、ネジバナ、ヒメジョオン、ホタルブクロ
(花そろそろ終わり)カモジグサ、クガイソウ、クサノオウ、コナスビ、コモチマンネングサ、シロツメクサ、ツメクサ、ナガバハエドクソウ、ハンカイソウ、ヤブレガサ

 見られた昆虫、鳥類、その他の動物は以下の通りです。
〔昆虫〕
 チョウ類…アゲハ、クロアゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、アサギマダラ、アカボシゴマダラ、キタテハ、コミスジ、ヒカゲチョウ、キマダラセセリ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ
 トンボ類…オオシオカラトンボ、コシアキトンボ
アブ類…アシブトハナアブ
 ハチ類…クマバチ、コマルハナバチ、オオモンクロベッコウ、アメリカジガバチ、ツルガハキリバチ、オオスズメバチ
 カメムシ類…アメンボ
甲虫類…ナミテントウ、ヨツスジハナカミキリ
〔鳥類〕
 ハシブトガラス、スズメ、メジロ、シジュウカラ、ヒヨドリ、コゲラ、カルガモ、ドバト
〔両生爬虫類〕クサガメ、ウシガエル、ミスジマイマイ
〔その他〕メダカ、モツゴ、ヨシノボリ、スジエビ
イヌヌマトラノオの花
イヌヌマトラノオの花
トモエソウの花
トモエソウの花
ムクロジの花
ムクロジの花
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